令和5年度 琉球大学 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 732 585 487 1055 1338 1946 2703 2605 1376 168
令和5年度に当院を退院された患者さんを10歳刻みの年齢階級別に集計したものです。
【解説】
 当院は沖縄県で唯一の特定機能病院であり、高度な医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しております。
 60歳代の患者数が最も多く、また、60歳代以上が全体の50%を占めています。平均年齢は55.1歳です。
 年代別の疾患をみると、10歳未満は地域の周産期医療を担っていることもあり、帝切児症候群や低出生体重児、新生児一過性多呼吸を多く診ています。また、長期治療が必要な代謝異常症(ムコ多糖症)や白血病、貧血を診ています。
 10歳代は10歳未満からの長期治療で、代謝異常症(ムコ多糖症)を最も診ており、中耳炎や側弯症の順に多く診ています。昨年度より尿路性器系の疾患(ネフローゼ症候群、IgA腎症)の症例が増加しています。
 20歳代は切迫早産を多く診ています。また、精巣癌も年々増えてきています。
 30歳代は前年度と変わらず子宮頚癌及び子宮体癌を最も多く診ています。当院は地域周産期センターに認定され、他施設から切迫早産例、産科救急例を24時間体制で受け入れており、それに関連した疾患を多く診ています。
 40歳代は30歳代からの長期治療で、子宮体癌や子宮頸がんが増え、ついで眼科疾患の網膜剥離や糖尿病性網膜症が多くなっています。
 50歳代~60歳代は婦人科系癌が上位をしめており、白内障や前立腺癌、消化器系の癌を多く診ています。
 70歳代も眼系疾患や消化器系疾患が多いなか、昨年に次いで労作性狭心症が増加傾向となっています。続いて子宮頸癌や前立腺癌が多い疾患となっています。
 80歳以上は大動脈弁狭窄症が最も多く、眼系疾患と続きます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
第一内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 82 10.24 8.75 1.22 69.71
060360xx01x0xx 慢性膵炎(膵嚢胞を含む。)、自己免疫性膵炎、膵石症 膵体尾部腫瘍切除術 膵尾部切除術の場合等 手術・処置等2なし 27 4.44 6.20 0.00 58.81
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 25 23.48 18.65 0.00 70.56
060050xx99040x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 25 7.24 8.05 0.00 60.52
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり(化学療法ありかつ放射線療法なし) 定義副傷病なし 21 12.67 8.33 0.00 65.38
当科で最も症例が多いのは消化器分野の胆管炎,膵炎を含む胆道、膵臓疾患です。総胆管結石や膵頭部腫瘍、生体肝移植を含めた外科手術後による胆管狭窄、胆管炎や閉塞性黄疸に対して内視鏡的胆道ドレナージや抗菌薬治療を行っております。またアルコールなどの慢性膵炎や膵癌、膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)の患者へ膵管ステント留置術をすることも多いです。ほかに炎症性腸疾患や消化管出血に対する治療、肝臓がんや膵臓腫瘍などに対する化学療法も行っております。また今年度よりびまん性肺疾患(間質性肺炎)のグループを立ち上げた事もありこれまでより同疾患の症例数が増えており今後も積極的に診療を行っていく予定です。また例年通り肺悪性腫瘍の化学療法を施行する患者様も多い状況です。外来化学療法も積極的に行っているので令和2年度よりは入院患者数は減少しておりますが依然として患者様は多い状況です。近年の化学療法の進歩に合わせて肺がんの化学療法の種類も多様化しており、肺がんの種類によっては免疫療法が主流となっているため患者様の状態に合わせた治療を心がけております。
第二内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 43 4.65 9.62 0.00 62.07
130020xx99x4xx ホジキン病 手術なし 手術・処置等24あり 31 5.19 11.20 0.00 43.42
100250xx99x21x 下垂体機能低下症 手術なし 手術・処置等22あり 定義副傷病あり 22 8.82 7.56 0.00 48.55
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 21 8.57 6.47 0.00 57.33
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等21あり 19 16.42 13.99 0.00 61.79
 内分泌代謝・糖尿病グループでは、多様な内分泌疾患と糖尿病の診療を行っております。下垂体機能低下症では下垂体ホルモンの低下により倦怠感などの様々な症状が出現します。検査により低下しているホルモンと原因疾患を特定し、ホルモンの補充と原因の除去を行います。下垂体腫瘍による下垂体機能低下症の場合は脳神経外科と連携して腫瘍の摘出や薬物療法を行います。副腎皮質腫瘍により副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される(副腎皮質機能亢進症)と高血圧症や糖尿病、肥満症をきたします。泌尿器科と連携して副腎皮質腫瘍の摘出を行います。糖尿病に対しては、入院下で専門的な検査を実施し、個々の状態に応じて最新の医学的知見に基づき最適な治療計画を立案しています。
 血液悪性腫瘍には主にリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫などがあります。血液内科では非ホジキンリンパ腫で最も多いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対してリツキシマブ併用化学療法を、ホジキンリンパ腫ではアドセトリス併用化学療法を行なっています。高齢者に多い多発性骨髄腫では新規薬剤(ベルケイド、エムプリシティ、ダラザレックス、サークリサ、ダラキューロ)、免疫調整薬を組み合わせた治療を行っています。急性白血病では、最新の知見に沿った化学療法を実施し、適応のある方には同種造血幹細胞移植を行っています。
第三内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 77 5.51 4.57 0.00 67.13
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術《経皮的冠動脈ステント留置術》等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 58 4.57 4.26 0.00 73.72
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 46 5.74 6.44 0.00 43.54
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 45 3.24 3.25 0.00 70.69
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 41 2.98 3.05 0.00 65.71
第三内科の年間入院患者数は1130名、平均年齢は68歳、平均入院期間は14日です。第三内科では主に心臓、腎臓、脳神経の診療を行っています。入院患者の割合は、循環器内科 64%、腎臓高血圧内科 20%、脳神経内科 16%です。循環器内科では狭心症など虚血性心疾患に対し心臓カテーテル検査や心臓カテーテル治療の件数を多く行っているなか、近年では大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)や不整脈に対する心臓カテーテルアブレーション治療が増えてきています。腎臓内科では腎生検による腎臓病の診断やIgA腎症に対するステロイドパルス療法が、神経内科では脳血管障害による入院が多くなっています。
第一外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等24あり《化学療法ありかつ放射線療法なし》 定義副傷病なし 78 3.58 8.67 0.00 63.37
060035xx99x6xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等26あり《アバスチン等》 49 2.51 4.42 0.00 56.65
060010xx99x41x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等24あり《化学療法ありかつ放射線療法なし》 定義副傷病あり《白血球疾患(その他)》 45 3.29 14.75 0.00 65.00
060035xx99x5xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり《エルプラット等》 27 2.93 4.18 0.00 57.22
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 26 15.92 15.12 7.69 63.38
がん治療は、手術療法、化学療法、放射線療法の3つを中心に行います。このうち、がんを根治させるには手術療法がもっとも有効です。
 しかし、見つかった時にはすでに進行しているがんや残念ながら手術後に再発したがんもあります。このようながんに対しても先に化学療法や放射線療法を行うことで、手術で根治できるようになることがあります。
 また、手術で根治できないほど広がってしまったがんには、化学療法や放射線療法が必要になります。
 化学法療法や放射線療法は副作用も多いため、専門的な知識と経験がとても重要です。当院では最新の治療情報を取り入れ、可能な限り患者さまに合った治療方法を行っており、治療成績も良好です。
 特に食道がん、大腸がんの治療経験は豊富で、患者さまにも安心して治療をうけていただいています。
第二外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx03x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 手術・処置等2なし 112 2.70 4.51 0.00 70.86
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 38 2.79 2.61 0.00 64.45
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり《中心静脈注射等》 36 21.81 21.53 2.78 63.86
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 36 6.22 7.57 2.78 69.17
050163xx9900xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 32 5.38 8.11 0 77.06
琉球大学胸部心臓血管外科(第二外科)では、患者さんの病気および体の状態を十分に検査した上で安全な低侵襲手術を積極的に行っています。弁膜症に対しては小切開心臓手術(MICS)および経カテーテル治療(切らない手術)、大動脈瘤に対してはステントグラフト治療、肺の病気に対しては胸腔鏡手術、動脈硬化による足の血管の病気に対してはカテーテル治療などです。安全に低侵襲手術を行うことにより手術後の回復が早く、早期の社会復帰も可能となります。また、弁膜症の手術においては人工弁を使用せず、ご自分の弁を修復することによる自己弁温存手術も積極的に行っています。この手術は、若い方には大変有用です
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010010xx9900xx 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 16 29.31 11.20 25.00 54.06
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 12 19.92 19.09 50.00 56.08
100260xx9700xx 下垂体機能亢進症 手術あり 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし - 21.38 16.06 0.00 57.63
010010xx03x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - 49.29 20.70 14.29 53.29
010010xx03x10x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等21あり 定義副傷病なし - 28.83 32.66 0.00 60.83
脳腫瘍、脳卒中、頭部外傷、水頭症、小児に起こる脳疾患、また、薬剤の有効性が乏しくなった機能的疾患(てんかん、片側顔面けいれん、三叉神経痛など)に対する手術治療を行っています。

特に脳腫瘍は、悪性(初期治療で手術、放射線療法、化学療法を要する腫瘍)から良性(原則摘出術で初期治療を行う腫瘍)まで幅広く治療を行っています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx010xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1なし 74 5.41 5.14 0.00 48.09
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 55 21.13 19.55 25.45 59.69
070180xx97xxxx 脊椎変形 手術あり 47 19.66 21.46 17.02 25.32
070041xx99x3xx 軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く。) 手術なし 手術・処置等23あり 45 8.78 8.58 0.00 53.31
140490xx970xxx 手足先天性疾患 手術あり 手術・処置等1なし 23 7.39 7.57 0.00 15.74
 整形外科の特色として、特発性側弯症、症候性側弯症、成人脊柱変形などの高度な技術を要する脊椎変形手術は、県内の他の総合病院ではほとんど行われておらず、全県の医療機関から患者さんの紹介を受けており、脊柱変形手術は当院に集約化しています。
 また、県内唯一の骨・軟部腫瘍の診療を行っているため、全県から骨・軟部腫瘍の紹介があり、良性骨・軟部腫瘍の手術をはじめ、悪性骨・軟部腫瘍の手術・化学療法など集学的治療を行っています。
 関節手術の分野では、大腿骨頭壊死症や変形性股関節症に対する人工関節置換術の手術は、例年一定の症例数を安定して行っています。
 手外科分野では、先天性の手指・足趾の変形についても、県内の多くの医療機関から紹介があり、他の医療機関では行わないような高度の変形矯正の手術を行っています。
 その他の分野においても、運動器に関する多岐にわたる症例を県内全域から紹介され、高度な医療を提供できることが、当科の特徴です。
産科婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 170 2.24 4.18 0.00 57.22
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 126 9.35 10.10 0.00 58.30
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 定義副傷病なし 83 2.28 4.05 0.00 59.27
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 79 8.73 9.34 0.00 34.99
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2なし 69 3.07 2.96 0.00 40.67
 1番目は、子宮頸部・体部の悪性腫瘍に対し、化学療法を受ける患者様です。手術が不可能な進行癌や再発癌の場合や、手術後に再発リスクが高いと判断される場合に化学療法を行います。化学療法は多くの場合、1または2日間で行われ、治療間隔は3または4週毎です。治療期間中は数日間の入院を繰り返します。
 2番目は、子宮頸部・体部の悪性腫瘍に対し、腹腔鏡下腟式子宮全摘出術を受ける患者様です。早期の子宮頸部・体部の悪性腫瘍の患者様が対象となります。術後経過が良好であれば、術後5日目頃に退院となります。
 3番目は、卵巣・子宮付属器の悪性腫瘍に対し、化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル等)を受ける患者様です。術後補助療法として行う場合や、手術不可能な進行癌に対して行う場合があります。化学療法は1日間で行われ、治療間隔は3週毎です。治療期間中は数日間の入院を繰り返します。
 4番目は、胎児および胎盤や臍帯などの胎児付属物の異常のため、帝王切開術により分娩される患者様です。癒着胎盤などのため、帝王切開術に引き続き子宮全摘出術が施行される場合もあります。
 5番目は、子宮頸癌の前癌病変である子宮頸部異形成や初期子宮頸癌に対し、子宮頸部切除術を受ける患者様です。術後経過が順調であれば、術後1日目に退院になります。
 当院は沖縄県内のほとんどの婦人科悪性腫瘍患者様の診療を行っております。2023年に治療を行った症例数は、子宮頸癌(浸潤癌)98例、子宮体癌108例、境界悪性・悪性子宮付属器腫瘍35例、外陰癌2例、腟癌1例、絨毛癌1例でした。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 157 5.66 6.07 0.64 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 35 5.51 11.01 2.86 0.00
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2なし 22 6.36 5.86 0.00 5.86
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 22 7.50 5.96 0.00 3.55
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 19 7.63 6.37 5.26 4.89
小児科及び周産母子センター全体では、出生体重2500g以上の症例が最も多く、次に、低出生体重児、インフルエンザ/ウイルス性肺炎、急性気管支炎、気管支喘息の頻度順となっております。
要因としましては、様々な基礎疾患を併せ持つ妊婦症例を多く診療しているからです。
周産母子センターでは、妊娠中の母体管理及び、正常体重児から、出生体重1000g未満超児の管理、合併症に対する治療を幅広く行い、母子ともに最善の状態で退院できるよう、地域周産期医療を担っております。
また、インフルエンザ/ウイルス性肺炎を初め、気管支炎/細気管支炎/気管支喘息症例の上位参入に関しましては、COVID-19感染の影響、その後の沖縄県内多種ウイルス感染症を反映しているものと思われ、各種基礎疾患を持つ当科かかりつけ患者の状態悪化によるものを反映しているものと思われます。
その他、当科においては、腎炎/ネフローゼ症候群症例の腎生検をはじめ、小児代謝疾患の酵素補充療法、小児膠原病の重症例に対する加療や生物学的製剤の導入、west症候群をはじめとする難治性てんかん症例の加療、希少難病の診断、治療なども行なっております。さらに、幅広い年齢にわたる様々な基礎疾患の存在する小児患者様の感染症、呼吸管理などの入院も非常に多く、医師、看護士のみならず多職種にわたる医療スタッフで一丸となって治療に取り組んでおります。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 72 6.19 7.22 0.00 79.65
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 19 12.47 12.88 5.26 48.63
080190xxxxxxxx 脱毛症 19 3.21 3.31 0.00 43.95
080005xx01x0xx 黒色腫 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 16 12.00 10.91 0.00 62.00
03001xxx99x40x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり《化学療法ありかつ放射線療法なし》 定義副傷病なし 14 2.57 9.29 0.00 80.79
沖縄県の重症皮膚疾患の患者動向を反映した傾向となっています。沖縄県では頭部血管肉腫とカポジ肉腫が、県外や世界的にも数倍から数十倍の頻度で発症します。これらの血管腫瘍に対し、手術・放射線・化学療法の集学的治療で対応しています。頭部血管肉腫の新規患者数は、国内のガンセンターに匹敵する数以上となっています。次に、皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、乳房外パジェット病など)の手術療法としての拠点病院の1つであり、これらが最も多い入院患者数群となっています。これら皮膚悪性腫瘍患者の初期治療には、広範囲切除と植皮術、放射線、化学療法、最近の免疫チェックポイント阻害薬による抗腫瘍免疫療法も多く行っています。上記の皮膚悪性腫瘍は高齢者に多いのに対し、これも沖縄県で多い化膿性汗腺炎・毛巣洞・慢性膿皮症は若年者にも多く、良性腫瘍ながら皮膚移植を伴う広範囲の手術療法と生物学的製による治療を行っています。自己免疫性脱毛症(広範囲円形脱毛症)や指定難病である特発性後天性全身性無汗症の診断・加療を行える沖縄県唯一の施設であり、尋常性天疱瘡および皮膚筋炎・多発性筋炎といった指定難病の重症例の治療を、ステロイドパルス療法やガンマグロブリン製剤の大量投与を含め広範に行っています。
腎泌尿器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 49 2.06 2.44 0.00 70.90
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 48 9.71 11.19 0.00 68.50
110070xx99x20x 膀胱腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 定義副傷病なし 43 6.60 9.06 0.00 64.91
11001xxx01x0xx 腎腫瘍 腎(尿管)悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 41 11.24 10.08 0.00 63.56
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等22あり 定義副傷病なし 37 6.86 6.59 0.00 70.86
当科は外科系診療科であるため手術目的の入院数が多くなっており、患者数も手術患者数と同様の傾向を示しています。一方で、当科は泌尿器癌に対する薬物療法も行うため、薬物療法目的の入院が診断群分類別では最も多くなっています。進行尿路上皮癌(膀胱癌、上部尿路癌)は、化学療法、がん免疫療法、抗体薬物複合体治療が行われます。進行腎癌に対してもがん免疫療法に加え分子標的薬治療が行われます。進行前立腺癌に対しては、近年ではホルモン療法+アンドロゲンシグナル阻害薬±ドセタキセルが中心になりますが、去勢抵抗性前立腺癌に移行するとホルモン療法+アンドロゲンシグナル阻害薬、さらにはタキサンを用いた化学療法が適応され、骨を中心とした全身管理が必要になります。最近PARP阻害剤という癌細胞のDNA修復阻害薬が認可され、治療の幅が広がりました。
 これらの薬物療法、特に新しい薬物療法においては有害事象のマネージメントが非常に重要になります。がん免疫療法薬には免疫関連有害事象があり、分子標的薬には皮膚障害、高血圧、下痢、心筋障害、甲状腺機能低下が共通にあり、薬剤によっては、骨髄抑制、易疲労感、肝機能障害、蛋白尿やネフローゼ症候群を生じることがあります。抗がん剤には、抗癌剤の漏出、アナフィラキシーショック、嘔吐、骨髄抑制、発熱性好中球減少症、感染症(敗血症)、間質性肺炎、心筋障害等があります。琉球大学病院では、これらの内科的治療を全ての有害事象の可能性を考慮しながら、全診療科の十分な経験のある医師による科横断的な連携をもとに行なっており、癌治療をより安全に遂行できると考えています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 114 5.59 6.76 0.00 39.96
03001xxx99x31x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等23あり 定義副傷病あり 61 39.05 38.51 1.64 59.59
03001xxx0200xx 頭頸部悪性腫瘍 頸部悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 57 14.96 12.84 0.00 63.86
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 56 7.52 6.75 1.79 54.04
03001xxx99x60x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等26あり《アービタックス》 定義副傷病なし 49 5.10 7.38 0 58.98
 県内の中核病院として、離島を含めすべての地域から難治性の耳鼻咽喉科・頭頸部外科全般の患者さんを受け入れています。特に、耳手術、頭頸部外科手術、鼻副鼻腔手術が多くなっています。指標の中で慢性中耳炎や中耳真珠腫の手術治療が最も多くなっていますが、手術の難易度が高いためです。患者さんの平均年齢は40才ですが、小児期の患者様と中高年の患者様が主となっています。
 慢性副鼻腔炎では喘息を合併した重症副鼻腔炎手術、舌がん、唾液腺、甲状腺癌などの頭頸部外科手術も同様に多くなっています。頭頸部外科手術は、歯科口腔外科、形成外科と共同して実施しています。
 突発性難聴は、重症新鮮例のみ高気圧酸素治療とステロイド治療、血管拡張療法を組み合わせて入院治療を行っています。顔面神経麻痺・めまい疾患は入院することは少ないですが、手術や安静を必要とする場合は、短期間の入院加療を行っています。
 これ以外にも扁桃・アデノイド手術は、IgA腎症を中心とした扁桃病巣疾患の患者さんを対象とし、腎臓内科との共同し実施しています。嗄声や嚥下障害は、リハビリテーションから外来での簡易手術、入院しての手術まで行っています。新型コロナウイルス感染症も重症者が少なくなり、多数の患者様の受け入れが可能となっています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 700 2.24 2.54 0.14 70.46
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり片眼 172 3.63 7.81 0.00 54.98
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり片眼 156 3.44 4.88 0.64 67.80
020220xx97xxx0 緑内障 その他の手術あり片眼 92 3.75 4.82 0.00 64.27
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 87 3.93 4.46 2.30 68.83
当院は、沖縄県唯一の大学病院として、重症な眼疾患を中心に診療を行っています。当科の特徴は、古泉英貴教授が専門とする黄斑疾患や網膜硝子体疾患の診断と治療です。特に、欧米で失明原因の第一位であり、日本でも高齢化に伴い急増している加齢黄斑変性に関して、長年にわたり診療と研究に取り組んでおり、病態に応じた最適な治療を提供しています。また、網膜剥離や増殖糖尿病網膜症などの緊急性が高い手術や重症例の手術も数多く行っています。
白内障手術は一般的にはクリニックでも行われますが、当院では特に緑内障治療を伴う白内障手術や、全身疾患をお持ちの方の白内障手術、またチン小帯脆弱などの難しい症例を中心に手術を行っています。また、県内に多く見られる閉塞隅角緑内障をはじめ、さまざまなタイプの緑内障に対して治療を行っています。
当院では、最新の医療機器を用い、高度な技術で手術を行っているため、全国平均と比べても入院期間が短くなっています。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x2xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 49 2.90 12.06 0.00 56.71
14031xx09900xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 30 2.67 5.68 3.33 35.30
100020xx99x2xx 甲状腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等22あり 14 3.21 5.83 0.00 57.00
070040xx99x0xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) 手術なし 手術・処置等2なし 11 2.00 9.07 0.00 58.45
070040xx99x2xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) 手術なし 手術・処置等22あり 11 5.91 20.05 18.18 63.45
当院は県内の基幹病院として、また数少ない入院可能な放射線科病院として、全県域から患者さんを受入れています。子宮頚癌に対する腔内照射は、放射線治療で子宮頸癌を根治するためには必須の治療です。県内で腔内照射が可能な施設は当院に限られており、県内で子宮頸癌の根治を目指して放射線治療を行った方は、ほぼ全員が当院で治療を受けています。全国でもTop10に入るほど多くの症例を治療しており、全国各都道府県から当院に見学に来る医師がいるほど経験豊富で安全に治療を実施しております。
 血管奇形のうち最も高頻度に見られる静脈奇形は、四肢や体表に生じた場合痛みを伴うことがあり、治療の対象となります。治療としては、当科にて行っている硬化療法が主体となります。エコー下に病変を穿刺し、薬剤(主にポリドカスクレロールやエタノールなど)を病変内に直接注入する方法で、病変を縮小させ症状の軽減を図ります。
 甲状腺癌に対する治療法のひとつとして、ヨード内服治療法があります。内服後の数日間は特殊病室に入院していただく必要がある、特殊な治療です。当施設はヨード内服治療法にも対応している、県内唯一の施設です。
 当院は根治を目的とした治療だけでなく、骨などに転移したがんに対する症状緩和目的の放射線治療も積極的に行っています。保険で対応可能な骨転移や少数個への定位放射線治療(いわゆるピンポイント照射)も対応しており、最新の腫瘍追尾システムを導入するなど、意欲的に取り組んでいます。今年度は骨髄移植の前処置として行う全身照射時に生殖腺機能温存、妊孕能温存を意図した線量低減照射に取り組んでおり、関係各診療科と協力しながらより安全で確実な放射線治療を実施するために日々努力しております。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし 19 2.42 2.82 0.00 63.11
140140xxxxxxxx 口蓋・口唇先天性疾患 14 7.21 8.63 0.00 6.86
160200xx02000x 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 4.91 4.63 0.00 37.73
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり - 2.38 3.17 0.00 51.13
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 手術あり - 3.88 8.23 0.00 59.75
当科では目のまわりの病気や、口唇裂手術に力を入れています。また、頭頸部癌切除後の遊離複合組織移植術(マイクロサージャリー手術)も積極的に実施しています。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - 2.00 9.88 0.00 62.40
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし - 9.75 10.25 25.00 51.25
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - 2.25 8.38 0.00 43.75
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 手術・処置等2なし - 2.00 2.86 0.00 22.75
160400xx99x0xx 胸郭・横隔膜損傷 手術なし 手術・処置等2なし - 8.67 9.36 0.00 46.67
救急患者のうち、外因性の疾患では外傷による骨折の治療、手足の軟部損傷、内因性では消化管出血の初期治療などを行います。外因性および内因性の緊急を要する疾患・病態の初期治療に対応します。
当院では救急科が主科となって大きな手術を実施することはなく、多発外傷で手術適応がある場合も、生命維持を優先する臓器を専門としている外科系の診療科が執刀し、その後、全身管理を救急科が行うスタイルで複数診療科の協力体制で対応しております。また、大学病院では臓器別の診療科が治療することが多いですが、腎臓・尿路系の感染は敗血症ショックという命にかかわる重篤な病態を引き起こすため、救急科として取り組んでいます。薬物中毒については、精神科と密に連携し、身体的治療から精神科治療まで円滑な診療をおこなっております。
頭部外傷で緊急手術を要さない症例、前庭機能障害症例における保存的治療など、専門診療科で対応できない症例、または複数診療科にまたがる症例を中心に診療にあたっております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 21 - 26 43 14 10 1 8
大腸癌 12 40 47 68 23 52 1 8
乳癌 10 13 - 13 - 24 1 8
肺癌 12 11 27 28 28 60 1 8
肝癌 - 16 19 30 25 27 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院は、県内唯一の都道府県がん診療連携拠点病院として、がんに対する高度な医療を提供しています。各種がんに対して標準治療を行うとともに、大学病院として臨床試験も行っています。
 胃がん:進行例であるStageⅣの割合が多いです。進行例に対しては薬物療法を行っています。
 大腸がん:進行例であるStageⅣの割合が多いです。進行例に対する薬物療法を積極的に導入しています。転移した部位が切除可能なときは手術も行います。
 乳がん:各Stageは概ね同様の割合になっています。進行度に合わせて、手術や放射線療法といった局所治療と、内分泌療法、薬物療法などの組み合わせで治療を行っています。
 肺がん:進行例であるStageⅢおよびⅣの割合が多く、薬物療法を中心に治療を行っています。早期例に対しては、胸腔鏡を使った低侵襲な手術も行っています。
 肝がん:進行度に合わせて、外科的手術、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法等を行っています。
※「患者数」について、実患者数とは異なり、同一患者が入退院を繰り返した場合、その回数をかけた延患者数となります。
※「不明」について、「不明」とされている症例は、治療前の検査入院が多く挙げられます。また、入院中の情報だけでは病期分類が判断できないものも多くあります。
※「再発」について、DPC様式1の入力マニュアル上、初回治療の完了後に当院にて診療を行った場合は、再発・再燃・新たな遠隔転移がなくても「再発」に含まれるため、一部の患者さんは再発がない場合でも「再発」の中で集計されています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 24 11.75 48.96
中等症 67 13.21 65.36
重症 11 12.36 77.55
超重症 - - -
不明 - - -
成人の市中肺炎の症例について重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。重症度については成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システムを用いて分類しています。
【定義】
・病院外で日常生活をしている人に発症する肺炎です。入院後に発症したものや、他院や施設からの転院は除いています。
・新型コロナウイルス、インフルエンザ等、ウイルス性肺炎、誤嚥性肺炎も除いています。
【解説】
軽症~中等症が多く状態が良ければ外来での治療を積極的に行っています。ただ当院は基礎疾患を多く持った患者様や治療で免疫力が低下している患者様も多く、その分軽症でも入院に至る場合が多い事も特徴です。重症例は平均年齢も上がり、超重症例では在院日数も長くなりますが高流量酸素療法やIPVなどの機器を積極的に使用し治療にあたっており昨年よりは在院日数も短くなっております。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 34 21.41 71.18 23.68
その他 - - - -
脳血管障害のなかでは、第三内科の神経グループは脳の血管が閉塞して起こる脳梗塞の診療に主に関わっています。年間40例前後の入院があります。当院は、発症から3日以内の脳梗塞急性期症例を多く受け入れており、脳卒中専門医による適切な急性期の治療を行っています。脳神経内科と脳神経外科で連携をとりながら 、脳梗塞超急性期の経静脈的血栓溶解療法も積極的に行っています。今後は脳梗塞超急性期の治療のひとつである血栓回収療法も安定して行っていけるよう取り組んでいきます。急性期の治療に加え、脳梗塞発症の原因を超音波検査やMRI検査などで調べ、再発予防のための方針を立てています。また、ひとたび脳梗塞を起こすと、麻痺など後遺症を残す例が70%におよぶため、発症早期からリハビリテーション科と連携を取り積極的にリハビリテーション介入を行っています。急性期脳梗塞治療を行ったあともリハビリテーション継続が必要となる場合は、速やかに回復期リハビリテーション病院へ転院できるよう、地域連携室と協力しながら治療を進めています。 
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
第一内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 55 3.11 9.45 1.82 70.67
K708-3 内視鏡的膵管ステント留置術 47 1.53 5.87 2.13 61.74
K6152 血管塞栓術(選択的動脈化学塞栓術) 20 1.65 8.15 0.00 72.25
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 19 2.05 5.58 0.00 73.00
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 16 1.06 3.81 0.00 63.00
例年通り胆道系、膵臓系の悪性腫瘍に対する内視鏡的ステント術は多い状況です。平均年齢は上昇しておりますがこれらの処置を行うことで患者様の状態を改善したうえで化学療法を行うことで予後の改善をめざしています。人事移動などもあり昨年よりやや件数は減っていますが来年度に向けてさらに件数、内容とも充実させていく所存です。消化管に関しては通常の胃、十二指腸、大腸からの出血に対する止血処置をはじめ、小腸カプセル内視鏡検査により出血源の評価やシングルバルーン小腸内視鏡を使用した止血術も行っており、関連施設からの紹介も増加しており症例数も増加しております。また、肝臓癌に対する血管塞栓術(選択的肝動脈化学塞栓術)の症例も増え、その一部は手術治療へ移行可能な症例もあり、今後も放射線科、外科と協力しながら沖縄県の中心として担ってきます。加えて早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術の患者様も多く受け入れており侵襲少なく癌を切除する方法として高い技術を持った医師が治療にあたっております。
第三内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 74 6.36 10.45 13.51 84.12
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 51 2.04 2.90 0.00 68.51
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 34 2.88 1.79 0.00 70.97
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 29 2.28 3.62 0.00 64.83
K570-3 経皮的肺動脈形成術 24 4.71 2.54 0.00 59.42
第三内科の循環器内科では、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈形成術と経皮的冠動脈ステント留置術といった心臓カテーテル治療を多く行っています。心臓カテーテル治療は、腕や足の血管から心臓までカテーテルという管を通して、バルーンやステント、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルなどを用いて病変の治療を行います。患者さんの状況に合わせて、検査と治療を同時に行う場合と、検査から日数をあけて治療を行う場合があり、入院期間は3日から7日程度と幅があります。
 当院では大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)も施行しています。TAVIは、全身麻酔下に足の付け根もしくは心臓の先端部よりカテーテルを挿入し、カテーテルを通して人工弁を留置する治療法です。胸を大きく切開せず、心臓を止めずに治療ができるため、外科的な弁置換術と比べて、患者さんの体への負担が少なく、入院期間は2週間程度です。当院では循環器内科と心臓血管外科で2015年8月に沖縄県内で初めてTAVIを施行し、2024年7月時点で600症例を超え,全国の大学病院でも屈指の治療成績を示しています。慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する経皮的肺動脈形成術を県内で唯一行なっています。経皮的肺動脈形成術は、首や足の血管からカテーテルを挿入し、肺動脈内の血栓による狭窄や閉塞をバルーンを用いて治療する手術です。他にも、不整脈に対する心臓カテーテルアブレーション治療も力を入れています。
第一外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 36 1.31 5.08 0.00 61.97
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 17 1.24 2.35 0.00 44.18
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 17 2.71 15.24 11.76 63.41
K529-21 胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術(頸部、胸部、腹部の操作) 16 2.00 34.63 0.00 61.69
K5223 食道狭窄拡張術(拡張用バルーン) 15 7.13 2.87 0.00 69.00
当院ではより体への負担の少ない手術法として、腹腔鏡を用いた胆嚢摘出術やヘルニア手術を行っております。
 また、食道癌や大腸がんに対しても腹腔鏡手術を標準として、安全で回復の早い治療を提供しております。


第二外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 87 0.47 1.47 0.00 70.44
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 34 7.06 14.41 0.00 85.79
K6171 下肢静脈瘤手術(抜去切除術) 34 0.71 0.97 0.00 64.68
K5551 弁置換術(1弁) 30 7.80 23.60 10.00 69.13
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 28 0.32 1.07 3.57 65.75
琉球大学胸部心臓血管外科(第二外科)では、患者さんの病気および体の状態を十分に検査した上で安全な低侵襲手術を積極的に行っています。弁膜症に対しては小切開心臓手術(MICS)および経カテーテル治療(切らない手術)、大動脈瘤に対してはステントグラフト治療、肺の病気に対しては胸腔鏡手術、動脈硬化による足の血管の病気に対してはカテーテル治療などです。安全に低侵襲手術を行うことにより手術後の回復が早く、早期の社会復帰も可能となります。また、弁膜症の手術においては人工弁を使用せず、ご自分の弁を修復することによる自己弁温存手術も積極的に行っています。この手術は、若い方には大変有用です。


脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 37 11.86 61.46 18.92 57.76
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) - 5.13 14.63 0.00 56.88
K160-2 頭蓋内微小血管減圧術 - 4.75 13.25 0.00 47.75
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - 0.75 22.00 0.00 74.75
K171 経鼻的下垂体腫瘍摘出術 - 7.50 14.75 0.00 39.00
手術の安全性を第一に考え、術中ナビゲーション、神経生理学的モニタリング、蛍光イメージング、また1歩進んだ手術支援技術として術前シミュレーション(顕微鏡でみた手術の場面を、手術の前に3次元的に画像化する技術)や術中MRI(手術の途中全身麻酔がかかった状態でMRIを撮影し、手術の進行状況を画像化する技術)など、最新の医療技術を取り入れ、運用しています。


整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 88 2.55 20.58 22.73 62.81
K142-21 脊椎側彎症手術 固定術 42 2.19 14.52 11.90 21.88
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 肩、上腕、前腕、大腿、下腿、躯幹 40 1.30 3.00 0.00 58.65
K0302 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術 手、足 25 0.24 1.88 0.00 52.48
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 後方又は後側方固定 25 3.96 32.84 56.00 62.88
運動器疾患を取り扱う整形外科手術の対象は、外傷、関節・脊椎変性疾患、骨・軟部腫瘍、先天性疾患による変形など多岐にわたります。
 当科の特色として、肩関節、膝関節、股関節などの大関節の人工関節置換術が最多です。人工関節置換術は術後3週間以内での自宅退院を目指したリハビリテーションプログラムを作成して治療を行っています。
 脊椎側弯症手術(固定術)の手術件数は42件あり、前年よりさらに手術件数が増加しています。症候性側彎症など他の医療機関では行っていない難治症例を小児科・麻酔科と協力し治療を行っています。また、成人脊柱変形手術などの脊柱矯正固定術や脊椎腫瘍などの高難度手術以外にも椎弓切除術、椎弓形成術なども行っており、より良い機能回復を目指し、リハビリテーションを専門とした関連病院への転院率が高くなっています。
 骨・軟部腫瘍の手術では、周術期の化学療法や腫瘍切除術後の再建まで含めた集学的な治療を行う県内唯一の骨・軟部腫瘍診療チームがあり、県内全域より患者さんが紹介され、治療にあたっています。
産科婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 107 5.40 5.21 0.00 33.60
K861 子宮内膜掻爬術 74 0.03 0.95 0.00 47.74
K879 子宮悪性腫瘍手術 71 2.32 10.82 0.00 60.94
K867 子宮頸部(腟部)切除術 69 1.00 1.07 0.00 40.77
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 69 4.46 5.04 0.00 35.74
 1番目の手術は、分娩の経過中に母体や胎児に異常を認める場合、急いで分娩を行うための手術になります。当科で妊娠管理を行ってきた妊婦様の分娩時に行われる場合の他、他の産科施設で緊急帝王切開術が必要と判断され母体搬送となる症例も受けております。
 2番目の手術は、子宮内膜増殖症、異型子宮内膜増殖症、子宮体癌などの患者様が対象になります。診断目的やホルモン療法の治療効果判定のために行われます。
 3番目の手術は、子宮頸・体部の悪性腫瘍に対する手術になります。早期子宮頸癌、および子宮体部悪性腫瘍の患者様が対象となります。
 4番目の手術は、子宮頸癌の前癌病変である子宮頸部異形成、および初期子宮頸癌の患者様が対象になります。当科では、術中や術後の出血を少なくするためにレーザーメスを使用した手術を行っております。
 5番目の手術は、何らかの理由(前回帝王切開分娩や胎児が骨盤位など)により、予め帝王切開分娩が計画される患者様が対象になります。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 11 0.00 39.82 9.09 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) - 0.00 94.17 0.00 0.00
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - 27.75 48.75 0.00 10.75
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - 0.67 1.33 0.00 10.33
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) - 3.67 1.00 0.00 4.00
小児科及び周産母子センター全体では、診断分類では出生体重2500g以上の症例の割合が最も多く、次に、低出生体重児、インフルエンザ/ウイルス性肺炎症例、急性気管支炎症例、気管支喘息症例、低出生体重児シナジス症例の頻度順となっております。
そのため、主要手術に関しては仮死蘇生術(仮死第1度/第2度)が1位、2位を占めておりました。また、低出生体重児や血液疾患患者への中心静脈留置、や血液疾患患者に対する造血幹細胞採取の頻度が高く、中心静脈カテーテル留置に関連する手術の割合が高くなっております。
 沖縄県内唯一の小児科移植認定施設である当科は、小児血液・がんの専門的治療を県内でも集約して行なっており、貧血や血小板減少症などの良性疾患から、白血病、リンパ腫、神経芽腫、肝芽腫、脳腫瘍、骨腫瘍などの固形がん、先天性免疫不全症まで、多岐にわたる疾患を対象として治療を行なっております。毎年平均して10例前後の骨髄移植を施行しており、患者様の生命予後の改善につながっているものと考えております。
 小児がん患者は、抗癌剤等の継続投与を行うための中心静脈カテーテルを留置する必要があり、当科手術患者第3位/第4位となっており、移植患者に対する造血幹細胞採取が第一に5位となっています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 94 0.98 5.36 0.00 76.27
K013-21 全層植皮術(25cm2未満) 17 0.88 7.29 5.88 70.24
K0064 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径12cm以上) - 1.00 9.25 0.00 41.25
K013-22 全層植皮術(25cm2以上100cm2未満) - 1.00 11.75 0.00 64.00
K753 毛巣嚢、毛巣瘻、毛巣洞手術 - 1.00 4.00 0.00 31.00
琉球大学病院皮膚科では、県内の皮膚悪性腫瘍の大部分の患者の治療を行っています。特に進行例や重症例の有棘細胞癌、悪性黒色腫、血管肉腫、基底細胞癌、乳房外パジェット病の原発巣の広範囲切除、リンパ節郭清、化学療法や、抗腫瘍免疫療法の治療を多数実施しております。進行期の皮膚悪性腫瘍に関しては、選択的動脈塞栓術による治療も繰り返し実施しています。その他では、良性疾患ながら国内では最も沖縄県での発症の多い、化膿性汗腺炎や毛巣洞等の一般病院での施術の難しい広範囲切除と植皮術を多数行っています。県内の進行期の悪性腫瘍、良性皮膚疾患群への手術療法の大部分の手術を行っています。


腎泌尿器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 65 1.15 5.68 0.00 72.40
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 48 1.40 7.31 0.00 68.50
K865-2 腹腔鏡下仙骨腟固定術 36 2.50 5.50 0.00 71.67
K773-51 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 原発病巣が7センチメートル以下のもの 26 1.62 8.62 0.00 63.46
K834-3 顕微鏡下精索静脈瘤手術 22 1.05 1.00 0.00 30.41
膀胱癌に対しては診断と治療を兼ねて経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)が行われます。TURBTにより得られる情報としての癌の深達度により、治療方針が決定されます。TURBTにより筋層に浸潤していないことが判明した筋層非浸潤性膀胱癌に対しては、通常、膀胱温存療法(TURBT ± BCG膀胱内注入療法)が適応されますが、2つの大きな課題、すなわち再発リスク(膀胱再発)と進展リスク(筋層浸潤癌以上に進行すること:命に関わるリスクが高まる)を抱えることになります。ガイドラインに基づいたスコアリングにより、膀胱温存(BCGで加療)、進展するリスクが非常に高い場合には早期の膀胱全摘除術をお勧めしています。TURBTにより筋層に浸潤が判明した筋層浸潤性膀胱癌に対する標準治療は、膀胱全摘除術+尿路変向術ですが、体に対する負担が大きい手術であり、最近では負担の軽いロボット支援下に膀胱全摘除術もおこなっております。これまで当科では低侵襲手術を積極的に導入しており、以前より腹腔鏡下に腎・副腎摘除術、骨盤臓器脱に対する仙骨膣固定術などを行ってまいりました。最近では、多くの主たる手術においてロボット支援手術を導入しており、前立腺摘除術(RARP)、腎部分切除術 (RAPN)、腎盂形成術 (RALP)及び膀胱全摘除術 (RARC)などをロボット支援下に行っております。琉球大学病院は高難度症例にも対応しており、具体的にはIMRTや重粒子線治療後の局所再発症例で高度に癒着した前立腺に対する救済RARPや高難度の腎門部癌腎に対するRAPNも行なっています。多発腎癌に対しては、腎を一旦摘除後に、ベンチサージャリーで腫瘍を取り除いたのちに、腎を患者の体内に戻す自家腎移植術も行なっており、世界的にも数少ない施設の一つです。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 66 1.21 3.42 0.00 38.64
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 54 1.09 3.59 0.00 42.93
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 34 1.00 3.21 0.00 49.56
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 28 1.21 5.93 0.00 34.79
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 22 1.32 4.09 0.00 57.41
慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対する各種鼓室形成術、乳突削開術、鼻内視鏡下手術などが指標に挙げられています。
 副鼻腔炎手術例では喘息と合併する好酸性副鼻腔炎が増加しています。ナビゲーションシステム,高解像度内視鏡システムなどを用いて安全な手術を実施しています。さらに耳手術にも内視鏡手術を取り入れています。いずれも術前日数や在院日数が全国平均よりも短く、年々入院期間が短くなっています。
 悪性腫瘍では、比較的早期の場合、内視鏡技術を取り入れた副鼻腔手術、内視鏡下鼻科悪性腫瘍手術、咽頭手術を行っています。いずれも体の負担が少なく、機能・形態の悪化が少ないことが特徴です。気管切開術は、腫瘍が大きく、救命目的で気道を確保すること、COVID-19や重症神経筋疾患で気道を確保することが必要な場合に実施しています。2024年1月から手術支援ロボットダビンチXiを用いた咽頭悪性腫瘍手術を開始しました。術後のQOLや合併症が少ないことから今後適応を拡大してゆきます。
 これ以外に舌がん,咽頭癌,喉頭癌などの頭頸部悪性腫瘍では、放射線科と共同して血管内抗がん剤治療と放射腺治療を組み合わせた臓器・機能温存治療,頸部郭清術、形成外科・歯科口腔外科と共同してより術後の機能が良くなるように機能形態再建手術に取り組んでいます。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 758 0.38 1.02 0.40 70.53
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 346 0.86 2.26 0.29 61.50
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 162 0.88 1.43 0.62 66.41
K2682イ 緑内障手術(流出路再建術)(眼内法)  126 0.68 1.14 0.00 69.83
K281 増殖性硝子体網膜症手術 58 0.98 2.72 0.00 51.53
沖縄県唯一の大学病院として重症で難易度の高い眼科手術を行っています。
現代において白内障は安全に短時間で手術(水晶体再建術)をすることができるようになりましたが、核が硬い白内障、水晶体亜脱臼、緑内障合併、高齢者など手術が難しい患者さんがおり、当科ではこのような手術を数多く行っています。また以前移植された人工レンズがずれた場合は硝子体手術を併用して特殊な方法で人工レンズを固定します。この時に行われる硝子体手術は硝子体茎顕微鏡下離断術(その他)になります。 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む)とは網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、硝子体出血、黄斑円孔、黄斑前膜といった重度な視力低下につながる疾患に対して行う硝子体手術です。さらに外傷、重症増殖糖尿病網膜症、重症網膜剥離の術式は増殖性硝子体網膜症手術となります。1年間に500~600件の硝子体手術を行っています。緑内障手術は眼圧を下げるために行いますが、高い技術と手術後の緻密なケアを必要としており、県内でこの手術を行える施設は限られています。当科は、新しい治療方法も積極的に取り入れ安全で効果の高い治療を行えるように日々努力しており、全国平均と比べても入院期間が短くなっています。
放射線科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) その他のもの 26 0.46 1.12 0.00 56.27
K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 - 0.00 1.00 0.00 75.00
K142-4 経皮的椎体形成術 - 0.00 7.00 0.00 44.00
血管塞栓術:
 放射線科における血管内治療(塞栓術)とは、カテーテルを血管内に挿入して出血や腫瘍などの病変に対し血管内から薬剤の注入や金属コイルの留置を行って治療を行う方法です。治療の対象としては、腫瘍性病変と、血管奇形や動脈瘤などの非腫瘍性病変に大別されています。いずれの場合においても、低侵襲であることや、治療に使用する機材の発展に伴う適応の拡大により、近年治療を受ける患者様が増加しています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 15 0.13 1.33 0.00 55.60
K0151 皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術 25c㎡未満 - 0.75 1.88 0.00 25.38
K2193 眼瞼下垂症手術 その他のもの - 0.50 1.13 0.00 35.00
K427 頬骨骨折観血的整復術 - 1.00 3.57 0.00 49.14
K628 リンパ管吻合術 - 1.43 1.57 0.00 62.43
まぶたが下がってくる「眼瞼下垂」や生まれつきの「口唇裂」に対する手術を積極的に実施しています。また足が浮腫んでしまう「リンパ浮腫」に対する手術も積極的に行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 29 0.22
異なる 11 0.08
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 43 0.33
異なる - -
播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、真菌感染症、手術・術後の合併症の患者さんについて、入院契機となった傷病と同一か異なるかに分けた患者数とそれぞれの発生率(請求率)を集計したものです。
この指標は、医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきもので、DPCデータの精度向上を図るために公表することとされている項目です。

➢ DPC6桁コード・・・DPCコードは傷病名、実施した手術、実施した処置、年齢、重症度、副傷病等の内容に応じて14桁のコードに分類されています。その中で左6桁は傷病名による分類を表しています。

➢ 入院契機・・・DPCコードは、入院期間中に医療資源を最も投入した傷病名(DPC傷病名)から決定しますが、それとは別に入院の契機となった傷病名がそれぞれの患者さんには付けられています。この指標では、DPC傷病名と入院契機傷病名が「同一」か「異なる」かに分けて集計しています。

➢ 発生率(請求率)・・・令和4年度の退院患者数に対し、各傷病名で診療報酬の請求を行った患者さんの割合です。

 【解説】
◇播種性血管内凝固症候群(130100)
 播種性血管内凝固症候群とは、さまざまな重症の基礎疾患により、血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる疾患です。基礎疾患には、急性前骨髄球性白血病・前立腺がん・肺がんなどの悪性腫瘍、前置胎盤早期剥離・羊水塞栓などの産科系疾患、敗血症、熱傷、外傷など、さまざまな疾患があります。これらの基礎疾患の悪化に伴い、大量の血液凝固促進物質が血管内に出現することが原因と考えられています。
 当院では、DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一である症例、異なる症例が、どちらも症例はありませんでした。
◇敗血症(180010)
 敗血症とは、感染症に起因した重篤な全身性炎症反応の症状を引き起こす疾患です。悪性腫瘍、血液疾患、糖尿病、肝・腎疾患、膠原病といった基礎疾患や未熟児、高齢者、手術後といった状態から起こる場合が多いとされています。
 当院では、DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一である症例が29例で発生率0.22%でした。

◇その他の真菌感染症(180035)
 真菌はいわゆるカビです。そのため、空気中、土中のあらゆる場所に存在します。しかし、健康な人は抵抗力があるため、普通は感染しません。不潔にしていたり、抵抗力が落ちていたり、何らかの病気で免疫力が低下することにより、真菌感染症を発症します。感染症にかかりやすいのは、小児、高齢者や、糖尿病、免疫不全症、免疫抑制を行っている患者さん、抗がん剤治療を行っている患者さんがこの中に入ります。
 真菌感染症で代表的なものは、アスペルギルス症、カンジダ症、クリプトコックス症です。
  
◇手術・処置等の合併症(180040)
 DPC傷病名と入院契機となった傷病名が同一であるものが43例0.33%でした。
 最も多いのは人工透析や腹膜灌流を行う際に必要なシャントやカテーテル等に、狭窄や閉塞、感染を発症し、その治療を目的として入院しています。次に腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療後に併発するエンドリーク(ステントグラフトでカバーした動脈瘤の中に、血液が流れ込む現象です。)にて入院している患者さんが続きます。また、手術後の創部感染や腹腔内の感染等の治療目的の患者さんもおり、これは基礎疾患の悪化により感染症を発症したことが原因のひとつと考えられています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1,241 1,122 90.4%
肺血栓塞栓症とは、血管の中にできた血液のかたまり(血栓)が肺の血管につまって、肺から血液への酸素の取り込みができなくなる病気で、長時間飛行機に乗った時にみられるエコノミー症候群としても知られています。手術や大きな検査を受ける場合には肺血栓塞栓症が起こりやすい状態になります。これは、手術や検査によって血液が固まりやすい状態に変化することや、寝たきりの状態が長いと足の血の巡りが悪くなるため、足の静脈に血のかたまりができやすくなるからです。血栓症の既往のある方、長期間寝たきり、血液がかたまりやすい病気、がん、肥満、高齢の患者さんはリスクが高いと言われており、予防が重要となります。当院では、関係学会によるガイドラインに従って、手術の種類や患者さん固有のリスクを考慮して予防法(弾性ストッキング、空気マッサージ器、薬剤など)を選択しています。患者さんの安全な療養生活につながるよう予防対策の実施率向上に向け取り組みを続けて参ります。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
「当院は特定機能病院のため、集計条件の「D018細菌培養同定検査」が「D025基本的検体検査実施料」に包括されるためデータ抽出不可により掲載なし」
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
「当院は特定機能病院のため、集計条件の「D018細菌培養同定検査」が「D025基本的検体検査実施料」に包括されるためデータ抽出不可により掲載なし」
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